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映画「そして父になる」感想

 血のつながりが大切。あるいは、過ごした時間が大切。あなたはどっち?

 「是枝裕和」監督作品、映画「そして父になる」を見てきました。事前の期待はかなり高かったのですが、裏切られることなく、泣かせてもらいました。
 大仰にならない静かな流れと、多くを語らず、余白と余韻を残した雰囲気が印象的でした。少ない言葉の中で、表情や雰囲気などの、感覚的な表現によって、演出するのはさすがです。

 「子どもの取り違え」から、「父(家族)のあり方」を問う作品で、対照的な二つの家族を追いながら物語は進みます。
 結局、理性で細かいことを気にしているのは大人たちで、子どもたちにとっては、些細なことなのではないでしょうか。

著者 :
アミューズソフトエンタテインメント
発売日 : 2014-04-23
 「大人」と「子ども」の関係に涙する。
 「子どもの取り違え」から始まる一連の流れから「父親(家族)」のあり方について問うてくる本作品。
 「父親」って、そもそもどういう存在なんだ。家族って、どういう存在なんだ。
 血の繋がりか。過ごした時間か。あるいは、何か別の要因でもあるのか。
 「父親」は苦悩する。しかし、やがて自分だけの「答え」を見出す。
 だから、正しい答えなんてない。それは違う、と否定なんて出来ない。これが正しい、と提示することも出来ない。
 私は、改めて「家族」というものについて考えさせられた。


 以下ネタバレ含む感想。

 あらすじ。
 一流企業に勤め、家族仲も良好と、順風満帆な生活を送っていた「野々村良多(福山雅治)」。しかし、病院から、もうじき小学校入学を迎える息子の「慶多」が、取り違えられていたという連絡が入った。「やっぱりそうだったのか」……無意識に良多は呟いた。
 取り違えの事例では、ほぼ100%、子どもの交換という結果になったことと、良多自身の思いから、同じく被害にあった相手の斎木家の息子「琉晴」と、交換した。

 だが、血のつながりはあるはずなのに、琉晴は、新たな家族に心を開かない。お父さん、お母さんと呼んでも、心のうちでは、「本当」の家族のもとに帰りたいと思っていた。
 良多もまた、血のつながっているはずの新たな息子が、打ち解けてくれないことに悩む。だが、やがて今までの自分が間違っていたことに気づいた。

 血だ、なんだと言って、結局逃げていたのは良多自身だった。父のあり方を考えるようになった良多は、再度の交換のため、慶多を迎えに斎木家を訪れる。
 血が繋がっていないから捨てられた、と、傷ついて逃げる慶多に、良多は、「最低の親だった。だけど、パパだったんだよ」と告白し、抱きしめるのだった。

 終わり。

 血より過ごした時間。他人事なら、言うのは簡単です。それが当事者になってみれば、どれだけ苦しいか。
 今まで一心に育ててきた子どもが、全く違う遺伝子を持ち、(性格など環境面の変化は置いておき)姿が全然似てこない。交換という決断も苦しいし、そのまま育て続けるのも苦しいはず。

 養子とか、里子なんて珍しいことではないですが、最初から血がつながっていないことを承知の上ならともかく、今回は事故(作中で人為的なものだと判明します)で、他人の子どもを育てることになったのですから。
 養子にしたって、本当の子どもじゃない、という事実は、真実を知ったときの子どもを、苦しめることもあるでしょう。

 それでも、血が繋がっていなくとも、親は親、なんでしょうね。

 今回は、大企業勤めの裕福な野々村と、単なる町の電気屋の斎木という、全く異なる環境の家族が対象です。
 普通の平均的な家庭ではないことが、余計に難しいことにしています。良多にとっては、厳しいしつけをしない斎木を不満に思っているし、子どもと接する時間の少ない良多を、斎木は不満に思っています。
 そのため、良多は、「二人とも引き取りますよ」と言い放って、「お金で買うのか!」と怒鳴られ、さらに「お前が六年間、子どもと一緒にいた時間を、俺たちはもう過ぎたぞ?」と言われるのですから、よく違いが分かるでしょう。

 良多は、自身も連れ子という過去から、血の繋がりを求める、しつけは厳しく、どちらかというと古いタイプの人間でした。一方で、斎木はいい加減な生活ではあるも、過ごした時間と想いを重視する、温かい家庭として描かれています。

 この両者、どちらかには感情移入できるのではないでしょうか。

 今まで完璧を求めてきた良多が、子ども(慶多)を失って、はじめて挫折し、父になることができたときには、思わず拍手したくなるほどでした。

 どちらが正しいとか、間違っているということはありません。両者とも子どもを愛し、子どものことを大切に考えています。だからこそ苦悩する。
 良多たちは真に家族になれたのだ、と、思いたいですね。

2013-09-28 : 映画関連 : コメント : 0 :
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霞澄香

Author:霞澄香
 据え置きはPS4しかないSONY大好きな雑食管理人。
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