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映画「少年H」感想

 毎年この時期になると、ひとつは戦争ものを読むか、見ることにしていますが、今年は二本目です。
 今回見てきたのは、映画「少年H」。同名の書籍の映画化となります。
 ベストセラーとしてそれなりに大きく取り上げられていたような記憶がありますが、真実を言いますと、私は読んだことがありません。
 なので、原作を読まないでの感想になります。

 戦争を取り扱ってはいますが、直接的な反戦映画というわけではなく、家族が成長してゆくさまを描きながら、果たして、どんな意味があったのだろう? ということを訴えてきました。
 あの時代は、文明人にとって生きづらい世の中だったんだろうなぁ、と。恐らく、当時は、あんなものじゃなかったはずです。
 そういった話も取り入れながら、暗くなりすぎないようにして、いやみのない作風に仕上げていたと思います。

 「おかしいこと」を「おかしいと言えない」社会。
 それが戦時中だった。それが少年Hが生きた時代だった。
 まだ若く、緩やかに自己を形成していくはずのときに、殺し、戦争を教えられ。
 戦争が終わってしまえば、今度はそんなものは役に立たない。
 新しい思想を持つ文明人は戦時中に捕まり。文化の発展が遅れる。
 もちろん、思想は危険なものを孕んでいることもある。しかし、思想なくして文化の発展はない。
 欧米と日本では、明らかに根源の思想が違った。なのに、同列でいたいと望んでしまったばかりに、悲劇が起きたのだろう。


 以下ネタバレ含む感想。

 あらすじ。
 昭和初期の神戸。洋服の仕立て屋を営む妹尾という家族がいた。
 芯の通った広い視野を持つ職人「妹尾盛夫(水谷豊)」、熱心なキリスト教徒「妹尾敏子(伊藤蘭)」、絵を描くことが好きで素直な長男「妹尾肇(吉岡竜輝)」、その妹「妹尾好子(花田優里音)」の四人家族だった。

 一家は楽しく日々を過ごしていたが、戦争の色が濃くなるに連れて、徐々に生活は変わってゆくことなる。
 仲の良かったうどん屋のお兄ちゃんが思想犯として捕まったり、優しかった元女形の芸人男姉ちゃんが戦争に行くことになったり……。

 さらには、妹尾家もキリスト教徒だという理由で、スパイ容疑を受けたり、イジメを受けたり……。
 中学に入学した肇も、軍事教練を受けることになる。しかし、やがて日本は敗戦を重ねてゆく。だが、一切負の結果を報道しない新聞や国に、肇は戸惑いを覚える。

 そして、国民は戦争の真実を知らないまま、日本の敗北と言う形で終戦を迎えることになった。破壊された町。死んでいった人々。残された人々。
 今まで戦争を賛美していた人々が、敵のはずの外国人(アメリカ人)相手に商売をする。思想犯の証だった共産主義を掲げる人々。
 肇は「なんだったんだ! この戦争は、なんだったんだ!」と、叫ぶ。
 しかし、盛夫の「これからが始まりだ」との励ましを受け、肇は絵描きとして、独り立ちすることを決意して、家を出るのだった。

 終わり。

 「おかしい」ことを「おかしい」と言えない世の中。弾圧、逮捕、拷問。直接的な地獄があったのでしょう。
 道徳の価値が薄れ、隣人愛が廃れてゆく。皆自分のことだけしか考えられなくなり、「絆」のつながりが消えてゆく。
 戦後、肇は、隣人や浮浪者に白米(非常に貴重だった)を譲ろうとする敏子に、「癖になる! 当たり前だと思うようになる! 俺たちはどうやって生きていくんだ!」と怒鳴ります。
 ですが、正しい言葉だと思います。当たり前だったことができなくなっている時点で、今までと同じことは望めません。しかし、敏子の行動もまた、正しいことなのでしょう。それが、たとえ自己満足であっても(敏子がそうだった、とは言っていません)。

 多感な時期に、戦争を教えられ(押し付けられ)た肇にとって、アメリカ人相手に商売をしている元教官や、共産主義に走った元教官の姿は、自己が揺らぐほどの衝撃だったに違いありません。
 だから寄る辺を失ったのだと思います。しかし、そこで、芯の通った父親盛夫の言葉のおかげで、立ち直ることができました。
 おかしいことを、おかしいと。信じるものを、信じぬく。そういった心が、大切なんだと思います。流れに流されるままは、違うぞ、と、言いたかったのではないでしょうか。
 そういった点では、盛夫は、一時揺らいでも、優れた家長でした。

 結局、欧米に認められたい、近づきたいという劣等感、自分は優れているんだ、という自尊心が、歪んで発露した結果が、戦争だったのでしょうね……。

 ……ちょっと難しく考えすぎかも。なんだかまとまりのない文章になってきたので、ここら辺でしめときます。
 さまざまなことを考えさせられた、良い映画でした。

2013-08-10 : 映画関連 : コメント : 0 :
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風見澄香

Author:風見澄香
 据え置きはPS4しかないSONY大好きな雑食管理人。
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