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映画「はじまりのみち」感想

 映画「はじまりのみち」を見てきました。監督はドラえもんやクレヨンしんちゃんなどの映画作品も手がけたことのある「原恵一」氏です。
 これは予告が公開されたときから見に行くことを決めていた映画で、それなりに期待していたのですが、裏切ることなく泣かせてくれました。
 非常に良い作品だったと思います。誰が善だとか、悪だとか、そんなことは問題じゃなくて、自分の心の持ち方、意志が重要なんだと訴えてきました。

 最近はアクションなどの派手なシーンが多い作品を見てきたからでしょうか、本作品の静かな作風が非常に好ましく思いました。
 ただしんみりと泣かせるだけじゃなくて、笑えるシーンもはさんでいるから余計に悲しくなるという見事な手法だったと感じました。

 これは泣ける。
 泣ける撮りに定評のある「原恵一」監督が手かげた作品で、彼にとっては始めての実写映画。
 だから大変な試行錯誤もあっただろうけれど、その分、非常に感動できる、考えさせられる作品となって完成している。
 この作品のストーリーは、ただの映画監督「木下恵介(加瀬亮)」が母親とともに疎開するだけのものだ。
 だが、巧みに、回想や映像、会話などを織り交ぜることによって、退屈させず戦争について考えさせる内容になっている。
 戦争モノにありがちな激しい空襲シーンなどの激しい映像はカット。
 ただ静かに、流れるように物語は進んでいった。


 以下ネタバレ含む感想。

 あらすじ。
 映画監督「木下恵介(加瀬亮)」は、作品「陸軍」が軍部に睨まれたことで、作りたいものを作れないなら、辞めてやる、と松竹を飛び出し、実家に帰ってしまう。
 その後、兄「敏三(ユースケ・サンタマリア)」とともに、空襲の折に倒れ、寝たきりとなってしまった母親「たま(田中裕子)」を静かに運ぶため、リヤカーに乗せて、山を越えて疎開することを決める。

 「便利屋(濱田岳)」とともに、三人で険しい道を行く恵介。しかし彼は、風景や、人を見るたびに、映画を(それも反戦的なものを)撮りたいという気持ちに駆られていた。
 そして疎開した先で、便利屋に、「陸軍で泣いたよ」と言われ、敏三に「お前は映画監督になるべきだ」と言われ、たまにも「あなたは、ここにいるべきじゃないわ」と言われたことで、再び映画監督になることを決意する。

 そして、木下恵介はいくつもの作品を生み出してゆくのだった。

 終わり。

 私は、木下恵介の作品は「二十四の瞳」や「幾歳月」などで知っていましたが、具体的にどんな人なのか? と聞かれると良く知らない。
 そんな私でしたが、この木下恵介の生涯の一部(しかし、重大な転機となった)を描いた「はじまりのみち」では始終うるうるさせられっぱなし。

 今回の原因となった「陸軍」のワンシーンや、あれ、これって木下作品の……、と思われるようなシーンの挿入があって、詳しく知らなくとも、どんな作品を生み出してきたかが知れるでしょう。
 そういった親切さがあって、こういったシーンを挿入して場を盛り上げたり、つないだりしていたのは上手でした。

 今回の物語は、ただ四人が、疎開するために険しい道を行くだけの話です。距離は五十キロくらいあれど、ただひたすらに歩き続けるだけ。
 だけど、それを退屈にならないように描写しています。陸軍の挿入で場面を飛ばしたり、回想シーンを挟んで飛ばしたり、村の宿屋での出来事をはさんだり。

 そして、そのどれもが必要な場面なのです。登場人物もまた、全員が必要な人物なのです。必要なものを必要なだけ、そういった丁寧さが感じ取れます。
 また全体的に非常に静かに描かれています。戦時中ではありますが、よくある爆撃のシーンはなく(この作品に必要ない)、また悲壮感もありません。

 全体的にゆっくり静かに、だけど動く笑いもはさむ、そういった温かさがあり、木下恵介監督の記念作品として、恵介監督を尊敬していることが感じられる作品でした。役者の演技も良い。

 やっぱり、戦争は病気なんでしょうね……。善も悪も関係なく、ただ消耗するだけ。反戦を描いた木下作品に触れる良い機会になったのではないでしょうか。

2013-06-02 : 映画関連 : コメント : 0 :
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