ゲーム・本(小説・漫画)・映画などの感想レビューがメインのブログです。

小説「マグダラで眠れ1」感想

 「マグダラで眠れ」は、「支倉凍砂」氏によるファンタジー小説です。著者は「狼と香辛料」というシリーズを書いていた方ですが、そちらとは恐らく関係のない新しい物語だと思います。私は読んでいないのでね。
 話の内容としては、「錬金術師」という人たちを主題にしており、人の持つ業と言いますか、研究者の持つ探究心、好奇心を描いた内容です。

アスキーメディアワークス
発売日:2012-07-10

 夢を追い求める人たちの物語。

 この作者の作品ははじめて読むが、とても面白かった。
 丁寧な文章と描写で、舞台となる時代の文明レベルを良く調べているのだろうな、と読んでいて分かる。
 また隠された謎を解く面もあって、あっちに動いてこっちに動いて、と見事に翻弄されてしまった。
 登場する主役キャラクターたちも好み。

 主役二人のじれったい恋愛(?)描写も良いけれど、これからも錬金術をメインにした内容を期待したい。


 以下ネタバレ含む感想。

 あらすじ。
 「先」の世界――マグダラの地(夢の実現)を目指している、眠らない錬金術師の異名を持つ男「クースラ(利子の意味)」は、絶大な権力を持つクラジウス騎士団の命令で、かつての同僚「ウェランド」と、監視役の聖歌隊の修道女「ウル・フェネシス」との三人で、戦場最前線の町グルベッティに赴く。
 クースラたちの目的は、殺された前任の錬金術師「トーマス・ブランケット」が残した、恐ろしいまでに純粋な鉄の精錬方法を調べること。しかし、徐々に雲行きは怪しくなる。
 前任者が残した技術は、恐らく教会にとって異端とするに十分なものだったらしい、そして殺したのも聖歌隊だろうと判明したのだ。

 それを知った騎士団輜重隊の上司「アラン・ポースト」から、実験を止めろと命令を受けたが、クースラとウェランドは、錬金術師の誇りにかけて、技術を解読することを続行する。
 そこで邪魔になるのは監視役フェネシスだったが、クースラは彼女に、かつて密偵だとして殺された恋人「フリーチェ」を重ねていた。彼女もまた、純粋にクースラの「オリハルコンでできた剣を作り、姫を守る」という夢を褒めてくれたからだった。

 しかし、そんなフェネシスを遣わした聖歌隊の真の目的は、生ぬるいものではなかった。フェネシスは、獣の耳を持つ呪われた一族だったのだ。最大の禁忌とされる悪魔の姿……。
 その正体を、ポーストが錬金術師を利用して不正を行っている黒幕だ、という彼女の言葉とともに知ってしまったクースラは、もはや諦めて殺されるか、聖歌隊に隷属するか、フェネシスを殺して逃げるかしかない……。

 だが、そのどれもクースラは選ばなかった。
 ポーストが不正を行い、トーマスがそれを聖歌隊に告解しようとしたために殺されたのか、あるいは聖歌隊が錬金術師を締め上げるために、トーマスの死を利用しようとしているのか。
 なぜ、ポーストと聖歌隊、どちらの言葉も成立するのか? それはどちらかが巧妙な嘘をついているからに過ぎない。
 はたして、彼は真実を見つけた。不正を行っていたのはポーストだった。彼は銀の聖母像に鉄を混ぜ、不当な利益を得ていたのだ。

 推理が当たり、ポーストを捕まえることに成功したクースラは、報酬として、聖歌隊からフェネシスの身柄を譲り受けるのだった。

 終わり。

 いやあ、読んでいて面白かったです。結構難しい内容なのかな、と思ったら、純粋であるがゆえに、救いを求めて苦しんでいる人たちを描いた話でした。
 ……って、これじゃあ難しくて重い話みたいですね。

 全然そのようなことはないです。クースラは、恋人を殺されたのに、冶金のことした考えられなかった自分を、錬金術師であるとして誇ると同時に、真の意味で人を好きになれないのでは、と苦しんでいました。
 フェネシスは、騎士団の庇護を受けるしか、生き延びる道がなく、かつ村八分にされながら利用され続けなければならかった。

 しかし、フェネシスのおかげでクースラは、人を好きになれていたと知ることができた。クースラのおかげで、フェネシスははじめて仲間を得ることができた。
 もちろん、まだまだ苦難は続くでしょう。夢を追い求めるクースラは、これからも異端視される厳しい人生を進まなければなりませんし、フェネシスもまた同じです。

 しかし、今回得たものは、砂漠のオアシスのように得がたい、そして本当に幸せなことなのではないでしょうか。

 まだ一巻目ではありますが、説明ばかりでなく、台詞のやりとりを含めて書き方が上手く、綺麗に物語を進めてくれたので、一巻だけ読んでも満足できますし、続きにも期待できる内容でした。
 恋愛もこれから発展するのかな? クースラとフェネシスのこれからが気になりますね。甘酸っぱいもどかしい関係を続けてくれても一向に構いませんが。

 さて、私は錬金術が大好きです。アトリエシリーズがきっかけで知った新参者ですが(笑)。
 個人的に知っているなかでは、錬金術は一つの学問として、当時当時の有力者たちに庇護されながら研究を続けていたらしいです。
 それはマグダラで眠れも同じで、騎士団という大きな勢力に守られてクースラは錬金術を究めようとしています。異端視されているのは、現実でも同じなのかは知りませんが。
 案外、マッドな科学者というだけなのかもしれませんね。いつまでも子どもの心を持った人たちなのかもしれません。

 そういった面で見ても、今回の作品は個人的に満足のいった作品でした。
 では、まとまりがないですが、これで一巻の感想を終わりとします。

2014-09-08 : 本(小説・漫画)関連 : コメント : 0 :
Pagetop
コメントの投稿
非公開コメント

Pagetop
« next  ホーム  prev »

呟き


プロフィール

霞澄香

Author:霞澄香
 線路の上しか歩けないブログ管理人。

カレンダー

ブログ内検索

アクセスカウンタ

本棚

By FC2ブログ

今すぐブログを作ろう!

Powered By FC2ブログ