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映画「藁の楯」感想

 サスペンス映画「藁の楯」を見てきました。人に付き合って見たもので、本来見るつもりはなかった作品ではありますが、そこそこ楽しませてもらいました。
 個人的にはその後に見た図書館戦争のほうが好みですけどね。やっぱり救いのない話って見ていて辛いですし。

 さて、本作品は、十億の懸賞金をかけられた凶悪犯を殺そうと襲い掛かる日本国民から、SPたち精鋭チームが護るというものです。凶悪犯はクズであり、それをなぜ護らなくてはならないのか。そういった中でのSPたちの葛藤を描いていました。
 全体を通して緊張感のあるストーリー構成で、日本の作品にしてはずいぶんと激しく爆発させたな、という印象でした。

 なお、この映画はサスペンス作品ですから、先の展開が分かってしまうとやはり面白みが薄れてしまうと思います。その点を踏まえて、記事をお読みください。

著者 :
ワーナー・ホーム・ビデオ
発売日 : 2013-09-18
 劇場で視聴。
 日本映画にしては、ずいぶん派手な作品に仕上げたものだと感心はするが、それで面白かったかと言うと……、正直微妙なところ。
 ストーリーの展開もいまいちだったし、登場人物たちの行動に一貫性がなかったように思う。
 私の感性の問題なのかもしれないが、結局、何を描きたかったのかがいまいち分からなかった。


 以下ネタバレ含む感想。

 あらすじ。
 総資産千億はくだらないとされる日本の大物「蜷川隆興(山崎努)」。彼の孫娘が、ある日惨たらしい死を迎えることになった。犯人は、過去にも少女を殺したことがある「清丸国秀(藤原竜也)」という男。
 愛する孫娘を殺された隆興は、新聞とインターネットを通じて、清丸を殺した人間(殺し、有罪判決を受けたもの。あるいは、国に認められて殺したもの)に十億を払う用意があると宣言する。

 それを聞いた人間に殺されかけた清丸は、慌てて潜伏していた福岡の県警に自首する。これを受けて、警察は国家の威信のため、精鋭のチームを組織し清丸の身柄を警視庁に移して、法の裁きを下すことを決定した。
 選ばれたメンバーは、警視庁の敏腕SP「銘苅一基(大沢たかお)」と「白岩篤子(松嶋菜々子)」、事件を担当した刑事の「奥村武(岸谷五郎)」と「神箸正樹(永山絢斗)」、そして福岡県警の「関谷賢示(伊武雅刀)」の五人。

 しかし、十億という数字は予想を超える効果をもたらしていた。お金に困っている人間たちが、清丸を殺すために必死の攻撃をしかけてきたのだ。加えて最悪なことに、警察内部にも内通者がいることが判明する。
 果たして、五人は清丸を無事に護送することができるのか? そもそも、こんなクズを護る価値はあるのだろうか?

 終わり。

 もう、本当に救いがない。
 ただの紙切れによって皆簡単に狂ってしまいます。そして後に引けなくなったために、人を殺すという最大の禁忌を犯そうとする……。
 その中には、かつて清丸に、娘を殺された人もいます。もちろん、だからといって人を殺してしまっては、結局同じ程度になってしまいます。
 人を呪わば穴二つ、という言葉がありますが、恨みや復讐から殺人をしてはいけないですし、どんな事情があれど、許されることではありません。

 もちろん、私は身近な人を殺されたことなんてありませんから、私の言うことは理想に過ぎないことは分かります。
 果たして、愛するものを殺されて、それでもなお、事実を受け止めることができるか、それが今回の映画のテーマでしょう。
 今回の映画で、結局、護送チームの中で、最後まで清丸を護ろうと行動していたのは、銘苅、白岩、神箸、関谷だけです。奥村は最初から内通していましたから。
 神箸は最後まで、クズを護る価値があったのか葛藤しながら、殺しに来た人間との銃撃戦の果てに死にました。関谷も殺しに来た人間が子どもを人質にとり、それを護るため射殺したことで離脱しました。

 なんで、クズのために、真っ当に生きてきた人たちが人生を狂わされなくてはならないのでしょうか? なんで、死ななければならないのでしょうか?

 銘苅は、最後まで自分の信念と正義を信じて、清丸を守り抜きます。最後の最後で暴走した清丸の手によって白岩が殺され、自身も危ない目にあったというのに。なにより、妻を飲酒運転の常習犯だった男の車によってひき殺された過去があったというのに(クズは結局クズということ)。

 白岩を殺されたとき、銘苅は清丸に「お前を一番殺したかったのは、誰でもない、この俺だ」と打ち明け、殺そうとする寸前まで行きますが、それでもなお、かつて死んだ妻を想い(妻が望んでいるのは、殺しじゃないと思って)清丸を守り抜きました。

 そして隆興に対しても「お前が自分で行動しないなら、俺は絶対にお前を認めるわけにはいかない」と言います。銘苅は最後まで、他人を想い、自らの信念と正義に従ったのでしょう。
 それに対して、隆興はお金という魔性の力で人々を狂わせ、ただいたずらに被害を増やしてしまいました。もちろん、彼がそうしてしまうのも仕方がないな、と感じてしまうのですが、それを最後まで否定する銘苅が眩しかったです。

 しかし、少なくない犠牲を払って護られた清丸はどうかというと、最後まで救いようのない正真正銘のクズでした。
 最後の台詞が「死刑になるのなら、もっとやっておけばよかったな」ですからね。彼の母親も、途中責任を感じて自殺したんですよ? 私の命と引き換えに、真っ当になって、と。
 なのに、それすらも白岩の油断を誘い、彼女を殺す手段としてしまいました。

 なんでこんなやつを護らないといけないのだろう? それは、この映画を見た全員が感じることでしょう。そして、結局何を守ることができたんだろう、とむなしくなるはずです。
 本当に、一体何を守ることができたんでしょうか……。

 しかし、清丸は本当に狂っていました。狂っている悪役といえば、レクター博士などを連想しますが、彼は何かしらの流儀というか、自らの行動に芯のある悪役でした。もちろん、だからといって正当化できるわけではないですからね。
 そして清丸も同じく狂っている悪なんですが、どこまでが演技で、どこまでが本気なのか、その曖昧さを上手く藤原は表現していたと思います。
 しかし、行動に一貫性がなく、どうにも魅力を感じることができないまま、薄気味悪い悪役として終わっていました。
 それが製作者たちの思惑通りなのか、私には分かりませんが、少なくとも分かりやすい憎むべき悪ではありました。

 さて、長くなりましたが、今回の感想はこれで終わりとします。

2013-05-05 : 映画関連 : コメント : 0 :
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