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小説「慟哭」感想

 『貫井徳郎』氏のミステリ小説です。
 二つの視点から描かれる手法をとっており、物語終幕に向けての怒涛の盛り上がりは素晴らしい。
 メインとなる人物は少ないが、むやみやたらに増やすよりは良いだろうし、状況を移動させるために登場するので、無駄な人物はいない。

 葛藤と苦悩や、落ちるところまで落ちてゆく、そういった描写が実に生々しく、恐ろしい。特に宗教については、さらに……。
 読後に残るのは、なんともいえない、脱力感だった。人間のもつ美しさ(美点)よりも、脆さ、弱さを描いていた。

 私は失踪症候群などで知っている作者のデビュー作ということで、長らく読めていなかったのをようやく読んだ。
 なんとも救いのない、暗い話だった。とてもリアリティのある内容で、ぐいぐい引き込んで読ませる文章は凄い。

 後半になるにつれて、おいおいまさか、やめてくれよ……、と冷や汗が流れ始め、そして最後の展開で、うわあ、と見事に唸らされた。
 それだけ没入して読み込んでいたし、物語にのめり込んでいた。

 どうしようもない、人間の脆さ、弱さを描いた作品。

 注意書きがあるように、当然フィクションではあるが、現代に通じる恐ろしい何かを感じた。


 以下ネタバレ含むあらすじ。……ですが、簡易かつ序盤までのものです。気になったら是非、読んでみてください。

 あらすじ。
 二つの視点で物語は進む。

 一つ。
 キャリアでありながら、異例とも言える人事で捜査一課長に就任した若手の佐伯は、連続幼女誘拐殺人事件の捜査をすることになった。キャリア、ノンキャリア間の不和や、家庭内での問題から、じょじょに追い詰められてゆく佐伯。
 やがて、事件は……。

 二つ。
 かつての出来事がきっかけで、胸にぽっかりと穴が開いている、そんなどうしようもない感情を持っていた“彼”。ある日、宗教団体の勧誘を受けた彼は、心の救いを求めて、宗教にのめり込んでゆく。
 やがて、怪しい黒魔術を求めるまでに発展し……。

 終わり。

2014-07-28 : 本(小説・漫画)関連 : コメント : 0 :
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