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小説「からくり夢時計―DREAM∞CLOCKS」感想

 『川口雅幸』氏による作品。アルファポリスからの出版です。分類は児童書になっていました。
 この作品の前にももう一作品「虹色ほたる」という作品が出ているようですが、見つからなかったので、最近軽装版が出版されたこちらを読むことに。
 終わり方が良くて、感動しました。内容は分かりやすいし、主人公の少年が成長していくのを見守って楽しめる作品でした。

 人と人との関係が希薄になった現代で、家族や地域の重要さを、優しい文章で訴えかけてくるお話。
 過去にタイムスリップしてしまった小学生の男の子の視点で進むので、難解な表現は出てこない。
 作者の色んな主張が押し付けがましくない程度に描かれていて、共感したり、考えさせられたり。


 以下ネタバレ含む感想。

 あらすじ。
 海のそばにある商店街ウミネコ通り。そこの時計屋「時心堂」の次男で小学六年生になる聖時は、母親を幼くして亡くし、父親と兄との三人で暮らしていた。
 彼はある日、古い時計のゼンマイを巻く鍵を見つける。そして、好奇心に動かされるまま、鍵を使って、時計のゼンマイを巻いた。

 すると、不思議なことに、彼が生まれた年、十二年前もの過去、1995年へとタイムスリップしていた。
 母も、祖父もまだ生きていた時へと。今では寂れていた商店街もにぎわっていて、あれだけ聖時に勉強しろと言っていた厳しい兄もわんぱくな子どもだった。

 祖父の機転で、祖父の友人の息子ということになった聖時は、写真でしか知らない祖父と母、兄とその友達と交流を深めてゆく。
 やがて、この時代の聖時が産まれるときがやってきた。そして、聖時が元の時間に戻るときも。

 不思議な、貴重な体験をして、聖時は元の時間に帰るのだった。

 終わり。

 主人公である聖時が過去に戻ることで、生きていた祖父や母と会話し、また兄がどうして厳しくなったのか、というような今まで受け入れられなかった周囲の環境を理解する。
 過去での交流で、いろんな人のいろんな面を知って、現代に戻って価値観というか、考え方が変わる。自分の中でも、様々なことがかわって成長してゆく、そんなお話でした。

 内容としては、家族愛、地域再生といったような、義理や人情を重んじる人間らしさ、を大事にするという主張でしょうか。都市化が進む中で、街が死んでゆく(廃れてゆく)、という言葉が重く感じました。

 全体を通して、単純な話を続けながら、細部にいろいろとメッセージが込められているように思えました。
 時間遡行とか、そこらへんはちょっとファンタジーな展開をしますけど、程よいドラマチックな流れで、飽きずに読み進めることができました。

 また作者の価値観が色々と示されますが、押し付けがましくないので、読んでいる最中はそういった細かいところは気にならなかったです。
 読み終えて、こういうことが言いたかったのかな? なんて考えたり。

 全体を通して、あたたかみにあふれた作品でした。

2013-01-28 : 本(小説・漫画)関連 : コメント : 0 :
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