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映画「劇場版 臨場」感想

 臨場見てきました。
 臨場は、「半落ち」「クライマーズ・ハイ」などで有名な横山秀夫の警察小説を原作にした作品です。前にテレビドラマ化もされており、人気はそれなりにあったと思います。

 本作のあらすじは。
 2010年に起きた無差別通り魔事件。しかし、死者四人、重軽傷者十五人にも及ぶ凄惨な事件を起こした犯人の男は、精神鑑定の結果、心神喪失状態であったとされ、刑法第三十九条「心神喪失者は罰せず」によって無罪が確定した。
 遺族は悲しみにくれながらも泣き寝入りするしかなく、やがて、事件が一般の人にとって過去の出来事となりはじめた2012年。犯人の無罪を勝ち取った弁護士と、精神鑑定を行った医師が相次いで殺害される。
 刑事部鑑識課検視官の倉石は、この二つの事件を追うことになる。

TOEI COMPANY,LTD.(TOE)(D)
発売日:2012-12-07

 ぞっとするお話。遺族のことを考えると、苦しくなる。
 「殺人」「法律」ということに関して考えさせられる作品だった。
 特に現代の法律や裁判があり方、抱える難しい問題が描かれている。


 以下ネタバレ注意。感情のままに書いているんでとりとめがないです。

 テーマは、「物言わぬ、死者の声を聞く」。
 被害者の立場から、一貫してそれが描かれており、被害者、そして遺族の無念さ、家族愛を丁寧に表現した作品だと思いました。最初から最後まで、ゆるむことなく、濃い展開が続きます。
 冒頭の通り魔事件は思わず目を背けたくなるようなもので、非常に心が痛む。娘が死んだことを認められない母親。赤ん坊を守るために犠牲になりながらも「死にたくない」と言い残して死んでいった母親。

 しかし、その事件を起こした犯人は、心神喪失だと言う事で無罪。刑法第三十九条を扱う作品はそれなりにあって、こういうものを見るたびに、毎回疑問に思います。
 責任能力ってなんだろう、と。これは現実の事件においても、本当に同じ人間なのか、と思うような犯人がいるし、それでいて罪が重くなかったり減刑されるなどすることもあって。
 法は結局、生者を守るのが限界と言うか、それが目的なんだろうなあと。その点が、今作でも被害者たちの受けた理不尽さに繋がっています。

 特におぞましいのが、この通り魔事件を起こした犯人が、心神喪失を装った「常人」だというところです(明確には示されておらず、正直言って常人かどうかも怪しい気が触れた人物ですが、とりあえずそうだと仮定しておきます)。
 彼は裁判中に、無罪を勝ち取って笑みを浮かべたり、倉石に追い詰められたときも、「お前を殺しても、俺は無罪になる」と罪の意識などまるで感じていません。

 もう救いようがない、真性の悪です。計算高く心身喪失を装い、裁判後の入院先で、何食わぬ顔で遺族に謝りたいなどとのたまったり、被害者の墓参りがしたい、などと。怒りを覚えるよりも、何か恐ろしい、薄ら寒いものを感じました。

 こんな人間でも、生かされるのか、と。
 倉石は、決して殺しを肯定しません。亡くした妻に胸を張って会うために。
 一方で、倉石の恩師である安永教授。彼もまた妻を亡くしており、彼の場合は、倉石のものとは違う「覚悟」をしてしまったために、2012年になって、無罪にした弁護士と医師を殺し、この通り魔事件の犯人も殺そうとしました。

 今作では、通り魔事件で殺された少女の母親。通り魔事件の犯人を殺そうとした安永教授。そしてもう一人、息子を冤罪によって自殺に追い込まれ、2012年の事件でも容疑者にされた刑事の父親。
 彼ら三人が追い詰めれられた側として登場しており、安永教授は除いて二人とも被害者遺族です。
 少女の母親は犯人を殺そうとしてしまうまでに追い詰められ、安永教授は実際に手を出し、また刑事の父親も容疑者扱いをされて、刑事としての誇りも奪うというのなら、と息子を自殺に追いやった警視を殺す一歩手前まで行き、最後には息子の名を叫んで自ら命を絶ちました。

 安永教授は、最後には倉石を庇って死に、自分の過ちを認めました。
 少女の母親は、必死に手を出す事を我慢し、最後には、その少女の残した声を拾い上げます。
 しかし、刑事は、最後まで救われることなく死んでゆきました。決して警察も悪意あって追い詰めたわけではありませんが、警察の抱える問題点を投げかけられた気分です。

 殺された少女は、通り魔事件の起きた現場近くの店のシャッターに絵を描いていました。少女は絵が好きで、家族仲が不仲になる中でも、親に「良い子じゃなかった」と言われても、「良い子」だったんだなぁと、後半のシーンではぼろ泣きでした。

 全体の感想としては、色々な問題提起を詰め込んでいましたが、時間内に頑張っておさめていたと思います。細かいところは、見ている最中は気にならないほどのめりこめましたし、個々人それぞれの「答え」を探すことのできる作品だと思いました、

2012-08-23 : 映画関連 : コメント : 0 :
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風見澄香

Author:風見澄香
 据え置きはPS4しかないSONY大好きな雑食管理人。
 購入するゲームはほとんどPS4のもの。
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